昨夜放映された『SONGS』。財津和夫特集の第2回目は、とても素晴らしい番組だった。SONGSでは通常、その歌と、その歌に対するアーティストの想いなんかを紹介する番組なのだが、今回披露される3曲のうち、「WAKE UP」「会いたい」は番組スタートから7分も経たないうちにそこそこに済ませ、残りの20分以上を小田と財津の交流について費やした。その結果、歌を媒介にした見事なドキュメンタリーとなったと思う。作り手の着眼点がいいね。小田和正も財津和夫も共に25年以上ファンをしてきた、まさに
“
おいらのためにあるような”番組だった。
そもそも
「ふたりが眺めた窓の向こう」を作るきっかけが小田さんとの交流からなのだそうだ。去年7月、別の仕事で偶然京都の同じホテルに泊まり合わせたそうなのだが、会う時間が無かったので財津さんが
「また一緒に何かやりたいですね」という手紙を書き、フロントに預けたところ、翌日、小田さんからも財津さんと同じ気持ちだという返事が届けられた。そして今年2月に財津さんから楽曲を依頼、小田さんは快く引き受けた。
しばらくして、小田さんから財津さんに手紙が書き添えられたデモテープが届く。小田さんの手紙には、こう書かれていた。
財津へ
どーも、ずいぶん遅くなってしまいました。これでも
一生けんめいやっておったのですが… いやいや言い訳は
無用ですな。でもこれで、いちおう、期限には間
に合ったんだよな。
さて、聴いてのとおり、デモの時とちょっと変わって
いますが、考えた結果です。気にいってくれるとよいです
がいろいろあると思います。なんなりと言ってください。しか
し、こゝからは話し合って詰めた方がいゝかなとも考え
ますがいかがでしょう。あ、タイトル、考えてますがなか
なか決まりません。他の曲は順調に進んでいます
か。取りあえずお待たせしました。また、どこかで。
小田和正小田さんの声で歌った、デモテープから聴こえる“その曲”は、まさに小田さんの曲だった。小田さんが歌ったらこういう感じだろう、というそのままだった。それを聴いた財津さんは、まるで、親から欲しかったおもちゃを与えてもらったような、子供のような笑みを浮かべて喜んだ。

そして
「小田さんより上手く、この曲をね、歌うことはかなり難しいと思うんですが、自分なりにアプローチ、どうしていこうかっていうね、またもうひとつの楽しみですね」と語る。
今度は財津さんから小田さんへ感謝の手紙を書いた。財津さんは小田さんの曲を
「悲しくて暖かい曲」と表し、長い間小田の作品を待ち焦がれていた気持ちと感謝の念が、財津流の表現で記されていた。
番組を通し、小田さんは財津さんのことを「財津くん」と呼ぶ。それに対し、財津さんは一貫して「小田さん」。手紙でも小田さんが「財津へ」なのに対し、財津さんは「小田様」だった(笑)。いや、小田がぞんざいで財津が謙りすぎとかそういうことが言いたいわけではなく、2人の相手に対しての想いが、とてもよく出ている表現だなぁと思ったわけ。それはすなわち、小田さんにとっての「友」であり、財津さんにとっての「憧れ」なのね。
財津さんは、まず小田さんの曲の世界を忠実に再現しようとし、そして長い時間をかけて、自分らしさを出すために、曲にもう一工夫加えてみる。イントロでピアノの音にギターを合わせ、満足そうな財津さん。
そして、歌をレコーディング。
小田さんの曲を活かすには、自分がどういう歌い方をすればいいのか、悩み続けた財津さん。何度も試してみるが、
「全然違うな」(財津)。そして出した結論は、
自分の個性を出して歌うより、小田さんの歌い方に忠実に最後まで歌うこと、だった。
歌い始めて7時間後、レコーディングが終わる。
財津は言う。
「小田さんの歌は、目を閉じて『自分の核』に向かって、話しかけるように、語りかけるように、真剣に歌う。魂が入っている歌い方ってこういう歌い方なんだろうなって思いますね」。こういう評価ができる財津も相当すごい、と、おいらは思った。
完成した曲が小田さんの下に届けられた。
それを聴いた小田さんの表情は、何ともいえない、とても染み渡った、感じ入った表情をしていた。
小田は言う。
「いろんな人に曲は書きましたけれども、今回はその時の気持ちとは全く違う気持ちになりました。(完成した曲を初めて聴いて)自分が予想していた通りの財津和夫でした。いつか二人でこの曲を一緒に演奏することがあるでしょうか」。やばい、俺、これ書きながら泣きそうだ

。その後、それを伝え聞いた財津さんは、ちょっと感動したような、嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
この曲が、なぜあまりにも“小田さんっぽく”感じるのか。そして、その曲を財津さんが、なぜこれほどまでに丁寧に歌っているのか。自分が気になっていたことに、この番組は回答をくれた気がしている。つまり、財津が単に小田風にしているわけではなく、今の自分、“等身大”の財津らしさで受け止め、重ね合わせたら結果こうなった、ということ。
思えば京都のホテルでのやりとりから、曲の完成に至るまで、この2人は全く会っていないのである。しかし、手紙や曲を通して、間違いなく互いに何かが通じ合った。それは40年、それぞれの音楽を追究してきたアーティストとして、グループを率いたリーダーとして、親しみと、敬意と、ライバル心を持ち続けきた同士として、そして、同じように歳を重ねてきた仲間としての、二人でしかわからない“何か”なのだと思う。
その曲は
「手紙にかえて」
かけがえのない 僕らの思い出として・・・
いつかきっと!2人で演奏できるその日を、ずっと心待ちにしております



来週からは4週連続で井上陽水特集だって!

すげっ!
posted by しろやん & いなやん at 23:55|
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